|
|
●栄養の代謝 食べ物でとり入れたタンパク質はアミノ酸に分解され、門脈と呼ばれる血管から肝臓まで運ばれます。 ここで再びタンパク質に合成され、自分に必要な栄養に作り変えて利用しています。また、糖や脂肪はグリコーゲンとして貯蔵し、栄養素が不足したときに再びブドウ糖を合成して血糖値を一定に保つ働きをしています。
●分解 小腸から吸収された、もしくは体内で作られた毒素を無毒化しています。たとえば腸内細菌によって作られたアンモニアはそのままでは猛毒ですが、それを無毒の尿素に分解して体を保護しています。
●血液の貯蔵、合成 通常は余分な血液を貯蔵し、足りなくなると放出するという、循環量の調節を行っています。また、血液を凝固させる因子を作ったり、破壊された赤血球を取り込み胆汁中に排泄しています。 |
|
初期には吐き気、下痢、食欲減退、体重減少などが多く、末期には黄疸、腹水、浮腫などがみられます。
|
|
肝疾患と一口に言っても肝疾患には急性と慢性があり、その原因として感染や毒物のような有害物質が肝臓に直接影響を与えて起こる原発性疾患と身体のほかの部位の疾患から派生する二次性疾患があります。このように肝疾患にはいろいろな種類や原因がありますが、代表的な疾患をご紹介します。
●ウィルスや細菌による感染症 イヌでは犬伝染性肝炎と呼ばれるウィルスが原因の感染症ですが、ワクチンの普及により最近ではあまりみられなくなりました。また、ネコでは同じくウィルスが原因となる猫伝染性腹膜炎による肝炎がよくみられます。この病気にはまだワクチンがないため、一度発症してしまうと致命的です。
●肝腫瘍 ペットの寿命が伸びたことにより腫瘍の発生は年々増えています。犬では肝癌、胆管癌もまれにありますが、他の部位にできた腫瘍が移転するケースが多く見られます。
●脂肪肝(肝リピドーシス) 食欲不振あるいは廃絶により十分な栄養、特にタンパク質およびカロリーの摂取ができなくなり、肝臓に脂肪が蓄積する病気です。太った猫に多いといわれています。
●門脈シャント 先天性の非常に稀な病気です。食後によだれを流したり、痙攣や元気がなくなります。肝臓に行くべき血管(門脈)がそのまま心臓にいく血管(体循環)とつながってしまい、分解されていない猛毒のアンモニアが全身を流れてしまう病気です。発見が早ければシャント手術で助かるケースもあります。
●肝硬変 慢性肝炎からの移行によるものがほとんどです。肝細胞に長期間にわたって炎症がおこり、肝細胞が破壊された結果、線維組織が増殖して硬く変質します。肝機能も次第に低下していきます。慢性肝炎以外にフィラリア症の末期にも見られます。末期の肝炎のため、完全に治すことはできません。そのため症状を緩和し、これ以上の進行を食い止める治療法として糖分やビタミンが豊富な栄養価の高い食事を与えて、安静を保ちます。
|
|
|
肝疾患にはいろいろな原因があり、そのほとんどが肝臓以外で起こっています。血液検査、尿検査、エコー検査などによりその原因となっている疾患を見つけ、その原因に効果的な治療や手術を行うことになります。また肥満による慢性肝炎の場合は、療法食などの良質な食餌に切り替えることによって十分治癒します。療法食にはいろいろな種類がありますので、お気軽にお問い合わせ下さい。 |